ケイト・ウィンスレット 映画「愛を読むひと」を追加

基本的にはネタバレありの場合でも特に表示はしない方針を採っているが、「愛を読むひと」は今後鑑賞する方が多くいると思われるので一応「ネタバレあり」と断りを入れておく。

レイフ・ファインズとケイト・ウィンスレット、ダフィット・クロスが中心の映画なので、華やかさが足りないような印象を持っていたが、実際に鑑賞してみるとこの三人が絶妙なキャスティングだと気づく。

まずは、ケイト・ウィンスレット。彼女は、この「愛を読むひと」で主要な映画賞の女優賞を総なめしているので誰が見ても納得の好演だろう。ニコール・キッドマンがこの役を演じているところなど想像ができない。

次に、「ナイロビの蜂」などでおなじみの英国紳士レイフ・ファインズ。この作品で私が最も注目した俳優。この人の表情や演技が本当に良い。とにかくかっこいい。やさしくて、思いやりがあり、セクシーでジェントルマン、だけど、娘にすら心を開かない、影を持ち合わせている役を見事に演じている。

そして、そのレイフ・ファインズの少年時代を演じているのがダフィット・クロスだが、これがまた良い感じに映画に溶け込んでいる。ヨーロッパ(ドイツ)を舞台にした映画なので、ヨーロピアン三人が違和感なく自然にフィットしたのかもしれない。

キャスティングをほめる余裕がある時点で作品自体の評価も高いと想像できるわけだが、この映画は現時点において、私の中では間違いなく十本の指に入る名作だと言える。ストーリーの中で2つ引っかかる部分があったことは残念だが、全体の出来から考えればそんなことは些細なことなので、あとでもう一度この映画について考えるためのスパイスだと思うようにすれば良い。

「愛を読むひと」は、ケイト・ウィンスレット演じるハンナが非識字者であることが、いくつかのターニングポイントを作り出すわけだが、個人的には読み書きができないこと自体は恥ずべきことではないように思う。

読み書きができない人の気持ちを察することはできないが、私は、そのこと自体を隠していることやコンプレックスを克服しようとしないことに違和感を覚える。こういった話のときにはいつもそう感じる。他人には絶対に知られたくないと思っている(克服可能な)コンプレックスを克服しようと努力しないことの方が怠慢に思えてならない。読み書きができないことをコンプレックスと思わない人はもちろんそのままでかまわないと思う。

コンプレックスとは往々にしてそういうことがあるのだが、本人たちが気にするほど他人は気にしていない。

それを踏まえた上で話を映画に戻すと、カミングアウトするか否かで今後の人生が決まるとなったときでさえ、頑なに非識字者であることを隠したハンナの気持ちは全く理解できない。しかし、そんな彼女の意思を尊重するレイフ・ファインズが素敵過ぎる。

そして、自発的に文字を覚え、つたない文字で感謝の言葉をつづるケイト・ウィンスレット…。前半の痴女っぽいキャラクターとの振り幅は大きいが、後半は何度も心が震えた。

余談になるが、体育の授業がハンドボールというのがヨーロッパっぽくて味がある。
愛を読むひと 公式サイト